心の傷

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心の傷

誰にでもある心の傷

自由な生き方を取り戻しませんか?

俯く女性

心の傷は、どんな人にもあります。
「私にはそんなものはないだろう…」
「私は男性だし、そんな心に傷があるなんて、思うなんてみっともない…」
そう思う人ほど、実は深いところに傷を負ってそのままになっている可能性があるのです。

自分の性格のせいだと思い込み自分自身を責め続けてきたいろいろなことが、実は自分に自覚のない心の傷に原因があることが非常に多いのです。

そして、変えられないと思い、絶望したり諦めていたことが、心の傷を治療することによって今までの不自由さから解放されて、失われていた自分らしさを取り戻して自由にイキイキと生きることが出来るようになることを、私たちは臨床経験の中で、目撃してきました。
あなたも、もう一度自分の心の中を点検してみて、より自由な生き方を取り戻してみませんか?

心的外傷概念とその治療に関する論文を掲載しています。臨床心理学を学びたいプロの方も、ぜひご覧ください。

第1章 心的外傷後ストレス障害の問題

第1節 心的外傷ストレス障害の特徴

心的外傷後ストレス障害とは

心的外傷後ストレス障害は過酷なストレスの反応として起こる精神的な障害である。
ここでの過酷なストレスは米国精神医学会の診断マニュアル(DSM-IV-TR:Diagnosis of Statistics for Mental disorder)によると、「危うく死ぬまたは重症を追うような出来事を1度以上、自分または他人の身体の保全に迫る危険をその人が体験し、目撃し、または直面すること」であり、その状況にさらされた後の反応は「強い恐怖、無力感または戦慄に関するもの」を基準としている。
PTSD(外傷性ストレス障害-Post traumatic stress disorder)の症状としては、再体験、回避と麻痺、覚醒亢進症状の3つが上げられる。
再体験は、出来事の反復的、進入的、かつ苦痛な想起であり、出来事の悪夢を反復的に見ることもある。
また、外傷的な出来事が過去に起こったことにもかかわらず、再び起こっているように行動したり、感じたりする。
そして外傷的出来事と同じような内的または外的きっかけから生じる心的苦痛や生理学的反応性などである。
回避と麻痺では外傷と関連した思考、感情、会話を回避し、それを想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力をする。
また外傷の重要な側面の想起不能、重要な活動への関心または参加の著しい減退が見られる。
そして他人からの孤立感、疎遠になっているという感覚、感情の範囲の縮小、未来が短縮した感覚などがある。
覚醒亢進症状では入眠、または睡眠維持の困難、易怒性、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応があげられる(American Psychiatric Association, 2000)。
この症状が1ヵ月以上継続するとPTSDとされ、1ヵ月以下の場合には急性ストレス障害と診断される。

PTSDのタイプ

ブランク(Blank, 1993)はPTSDの縦断的経過には、急性、遅発性、慢性、間歇性、後遺性、再発パターンなどかなりの多様性があることを強調しており、PTSDにおける外傷体験の影響はその体験のタイプによって大きく異なるとしている(Blank, 1993)。
またハーマン(Harman,1996)らによれば子どもの虐待の長期的影響は、自然災害や成人期における限定された外傷体験からの影響とは異なることを指摘しており、子どもの虐待被害者のほうが、トラウマの記憶の喪失や多様な解離症状を起こしやすいとしている(Saxe et al., 1994)。
これらのことからヴァン・デア・コーク(van der Kolk, 1996)らは児童虐待の場合は、人格形成期に重篤な外傷が長期にわたって繰り返されるため、より複雑なPTSD概念が必要だとの見方をしており、それぞれ「複雑型complex PTSD」、「複合型 combined PTSD」という概念を提唱し、従来の戦争神経症をモデルとした「単純simple PTSD」とは区別すべきであると主張している(中根, 2000)。
実際、PTSDはDSM-III以来、不安障害のサブカテゴリーに分類されてはいるが、実際のPTSDの症状は多様で、解離性障害、転換性障害、身体化障害などのオーバーラップが多く、不安障害よりむしろ解離性障害に分類すべきという議論もある(中根, 2000)。

PTSDの症状/過覚醒・侵入・狭窄

この多様なPTSDの症状をハーマンは過覚醒、侵入、狹窄の3つのカテゴリーに分けることが出来るとしている。
「過覚醒」は長期にわたって危険に備えていたことの現われとし、「侵入」は心的外傷を受けた深い傷を反映し、「狹窄」は屈伏による無感覚反応を反映するとした(Harman, 1993)。
マクファーレン、ウェーバ、クラークの事象関連皮質電位(event-related potential)をもちいた研究では、PTSD患者は外傷体験に関連性のある刺激とそうでない刺激とを区別することが出来ないということから過覚醒の症状が生理的レベルで証明している(McFarlane, Weber, & Clark, 1993) 。
狹窄における無感覚反応の研究でヴァン・デア・コークはPET(陽電子放射撮影法)でPTSD患者に外傷体験を思い起こさせた時、ブローカ領域での酸素の消費が低下したことを観察した(van der Kolk, 1996)。
ブローカ領域は内的体験に触れるための言葉を生み出す部分であることから、PTSD患者の外傷体験は「言葉にならない恐怖」を引き起こし、感情を言葉で表現する能力を阻害し、感情を身体の機能不全という形で無言のうちに表現させる現象を裏付けるのではないかとしている。
マクファーレンらが大火災にさらされた消防士469人の8年間の経過を追った研究では侵入症状は回避および過覚醒の症状ほどPTSDに特有なものとしてみられず、侵入と回避という外傷体験に関連した症状は時間の経過とともに減少するが、感情と覚醒の障害にあまり変化がみられなかった(McFarlane & Papay, 1992)。
これらの研究から心的外傷後ストレス障害は、外傷を受けてから覚醒と感情の障害が長期にわたって変化せずに残ってしまうことが最も大きな特徴としてあげることが出来る。

第2節 心的外傷後ストレス障害研究の歴史

シャルコー/ヒステリー研究~マイヤーズ/砲弾ショック

心的外傷はシャルコー(Charcot, 1887)のヒステリー研究によって始まった。
シャルコーは女性ヒステリー患者の痙攣発作に関心を抱くようになり、その研究の中で「ヒステリーは心理的原因としての外傷的なショックによって起こる」とした(飛鳥井,1992)。
その後、第一次世界大戦時に近代兵器による大量虐殺が繰り返され、並外れたショックを受けた多くの兵士が女性ヒステリー患者と同じ症状を示した。
初めはその症状を炸裂する砲弾の衝撃で脳震盪を起こすためや一酸化炭素の影響と考えられ、マイヤーズ(Myers, 1915)により砲弾ショック(Shell shock)と病名がつけられたが、身体的に外傷をまったく受けなかった兵士にも同じような症状が見られたことから砲弾ショックの症状が心理学的外傷によるものであることを認めずにはいられなくなり、その後の研究で恐怖や驚愕といった心理的原因によるものと結論づけた(ハーマン, 1996)。

フロイト/精神分析~ジャネ/下意識固着観念

シャルコーの死後、ヒステリー研究はフロイトとジャネによって引き継がれた。
フロイトの研究から出た外傷理論とは、幼児期に兄弟や父親から誘惑されたことによる性的誘惑説(seduction theory)から、後に患者の性的外傷体験は事実ではなくファンタジーであるという見方に変わっていった。
その一方でジャネ(Janet, 1872)は意識野というものを考えた。
この意識野で日々の体験が認識され、その人の中にあるシェマ(範例的図式)にしたがって下意識(シブコンシャス)に暗号化され新たなる記憶システムをつくる。
恐ろしすぎる体験や奇怪な体験が、意識野での認知のコントロールを超えてしまうことで、恐怖感覚そのものは下意識に蓄積されるが、意識野からは分離されてしまうので恐怖感覚の断片が病的な心理自動症(ロートマティズム・プシロジク)として後になって表現される。
これをジャネは「解離(ディソシアシオン)」と呼んだ。
解離して断片化した記憶が、既存の意識とは別の意識領域を作ることを「下意識固着観念」とし外傷性記憶のことを示した(斎藤,2000)。
このメカニズムが現在の研究者の間で再評価されている(中山,2000)。

第二次世界大戦後の戦争神経症~ベトナム戦争

第二次世界大戦後再び戦争神経症に関心が集まり、1952年のDSM-Iにおいて「gros stress reaction」という診断サブカテゴリーが作られた。
この時期にカーディナーは戦争神経症患者が示す感情の収縮と共に、自律神経系の生理学的症状や様々な身体症状に注目し、生理神経症と名付け、その後のPTSD概念の土台となった。
そしてベトナム戦争で帰還兵の精神的後遺症が社会問題となりPTSDの概念が成立することになる。

レイプ・トラウマ症候群~バタード・ウーマン症候群

この時期に戦時下以外のトラウマに関しても災害や事故の被害者を対象に研究が行われていった(Raphael, 1986)。
そしてフェミニスト運動の影響もあってバーガスとホルムストームが報告したレイプ/トラウマ症候群(Burgess et al, 1974)やウォーカーのバタード/ウーマン症候群(Walker, 1979)にも社会的関心が寄せられた。
1960年代からは米国で大きな問題になりつつあった児童虐待に関しても研究が進められ、被虐待児症候群として数多くの報告がなされてきた。
わが国におけるPTSDの歴史は非常に浅く、精神科の診断マニュアルに導入された後でもほとんど注目されることがなく、1995年の阪神淡路大震災以降にPTSDの研究がなされるようになった。

第3節 臨床現場からの考察

PTSD患者の主訴のずれ

臨床現場では患者は心的外傷を主訴に来室することはほとんどなく、摂食障害、自傷、解離、対人関係障害、性機能障害、パニック障害、暴力被害などの問題を訴える。
これらのケースの多くは困難を抱え来室しているにもかかわらず、訴える症状を治療者が聞いても全く本人が困っていることが伝わってこないという現象がある。
面接室に入るまでの緊張感は患者から感じ取ることが出来るが、一度患者自身の問題を語りだすと一気に冷静になり、「一晩中、過食嘔吐をしている」、「カッターで手首を何度も傷付けてしまう」、「彼氏に殴られ指を骨折した」などの本来は緊張感が伴うはずの話を淡々と話すか、笑顔を浮かべながら話したりすることから、治療者には全く緊急性が伝わってこない。
治療者が患者の話を理解出来ずにスーパーバイザーに相談すると、「治療者の気持ちを引くための転移反応では」という答えが返ってくる。
しかし、実際に患者の吐きダコ(過食嘔吐をするために指を口に入れるため、人差し指か中指の関節にタコが出来る)や、カッターの傷跡、骨折の治療後などから詐病である可能性は低いのではと考えた。
問題の原因を検証するため生育歴を聴取している時も、記憶はあいまいであり、両親からの身体的虐待や他の外傷体験が語られる時でも、感情が伴ってないことから、治療者が外傷体験に共感することが難しい。
父親や兄弟からの性的虐待のエピソードが語られる時でも、患者は涙を流して泣くが、その時の泣き方があまりにも極端で全てが演技じみて見えてしまう。
ここだけをみるとフロイトが外傷体験をファンタジーに置き換えてしまったことが理解出来るような感覚になる。

患者の解離←→再体験

この現象がハーマンのいう心的外傷後ストレス障害の最大の特徴であると考えられる。
外傷を受けた人は記憶喪失と解消そのものの再体験という両極の間を往復し、強烈な感覚を繰り返すことにより何も感じないという砂漠のような空白状態との間を往復し、衝動的な苛立ち行動と全くの行動静止との間を往復することで、この周期的交感が不安定性を生み出し、このために外傷を受けた人の将来は予測不能なものでいっぱいになり、自分は孤立無援だという感覚に陥ってしまう(Harman, 1996)。
患者たちは、不安感を相手に伝えてみるが、その背後には患者自身が感じられないという感覚があるので当然治療者に緊急性が伝わらず苛立ちを覚え、治療者を転々と変えてしまい、結局誰にも理解してもらえないという孤独感にさいなまれてしまうのである。

孤立感・疎遠感・感情範囲の縮小

DSM-IV-TRのPTSDの特徴としてあげられている、他人からの孤立感、疎遠になっているという感覚、感情の範囲の縮小は治療者と患者の関係を継続させるのにも障害になり、ヴァン・デア・コークの感情麻痺の研究では、新しい解決法を模索する能力を殺してしまうことから、心理療法を用いてこれらの症状が心的外傷を解決することの妨げになることを指摘している(van der Kolk et al., 1994)。
治療者が患者の感情に敏感になり、それを治療の中で扱うことの重要性も多くの研究で語られていることである。

第2章 PTSDメカニズム研究

第1節 PTSDの記憶システム研究

記憶の障害

PTSDの症状には記憶の障害の影響も十分に考えることが出来る。
DSM-IVの診断基準では「出来事の反復的で進入的な苦痛の想起」、「外傷的な出来事が再び起こっているような行動」、「外傷の重要な側面の想起不能」があり、記憶の障害といっても過言ではない。
さらに「外傷と関連した思考、感情または会話を回避しようとする努力」などは記憶の障害に外傷体験におけるストレスが関与していることが示唆されている。
記憶は概念的には、符号化(encoding)、貯蔵(storage)、検索(retrieval)の3つの過程からなっているが、DSM-IVにある「出来事の反復的で侵入的な苦痛の想起」と「外傷的出来事が再び起こっているかのような行動」は検索の障害が起きていると考えられる。
また「外傷の重要な側面の想起不能」については符号化、貯蔵、検索のいずれかに障害が起きているのではと考えられる。

陳述記憶と非陳述記憶

スクアイアー(Sqire, 1991)の陳述記憶(declarative memory)と非陳述記憶(nondeclarative memory)の分類では、陳述記憶は意識的想起が可能な記憶で、エピソード記憶と意味記憶で構成され、非陳述記憶は意識的想起が不可能な記憶で、技能、プライミング、条件付けなどを含んでいる。
PTSDの症状に当てはめてみると「外傷の重要な側面の想起不能」は陳述記憶の中のエピソード記憶の障害であると考えられる。
また「外傷的出来事の一つの側面を象徴し、または類似している内面または外的きっかけに曝露された場合に生じる、強い心的苦痛」は非陳述記憶の中のプライミングあるいは条件付けとみることが出来る(中根, 2000)。

脳の海馬・扁桃体・皮質の機能

このようなPTSDにおける記憶の異常の原因を理解するためシャレフは研究の中で、いくつかの病的なプロセスが相互に絡み合っているとしている。
1つは神経生物学的なプロセスが変容し、それが刺激の弁別に影響している。
2つにトラウマに関連した刺激に対する恐怖反応の条件付けが出来てしまう。
3つに認知的枠組みと社会的な意味の理解が変性するといったような3つのプロセスが相互に関連してPTSDの複雑な症状となるとしている(Shalev, 1993)。
神経生理学的の変容をあげる時に、ストレスから海馬の損傷があげられる。
海馬は陳述記憶に重要な役割を果たすことがあげられているがブレンナー(Bremner, 1992)の研究からベトナム戦争帰還兵のMRIでは海馬の体積の減少が報告され、その中でもPTSDと診断された患者の知能検査(WAIS)では全体的な知能低下はなしにメモリースケールの論理記憶の項での障害が認められている(Bremner, 1995)。
次に恐怖反応の条件付けを考える時、Cahillの研究では扁桃体の存在を重要視している。
扁桃体は情動を伴う記憶の貯蔵を修飾する装置である(Cahill, 1995)としている。
また扁桃体に関しては、記憶だけにとどまらず情動や状況判断にかかわる、より幅広い役割を担っていると考えられている。
強い刺激を与えることで驚愕反応が起こり、この時、扁桃体がこの驚愕反応を学習する役割をする。
そしてこの恐怖の消去は扁桃体機能を皮質や前頭葉眼窩面が制御すると考えられているがPTSDでは側頭葉皮質の糖代謝が減じていることから、PTSD患者の恐怖反応が消去されない原因が予測される(Bremner, 1995)。

情動と記憶の関係

ルドゥ(LeDoux, 1987)は研究の中で情報の解釈、貯蔵、再生にかかわる脳の諸構造にある関係のシェーマを示している(Fig.1)。
感覚器官を通じて感覚的情報が中枢神経に入る。
その情報は視床に入力され、そこで一部の情報が統合される。
視床は感覚器から入力された情報をさらに詳しく評価するという目的で、扁桃体と前頭葉に情報を送る。
扁桃体は送られてきた情報に情緒的重要性を付け情緒的負荷を解釈する。
扁桃体によって評価された情報は、行動、自律神経、神経ホルモン反応システムをコントロールする脳幹領域に送られる。
この過程で、扁桃体は感覚刺激を情緒およびホルモン信号に変形させることで扁桃体は情緒反応を生じさせたり、制御したりするのである(LeDoux, 1992)。
ここでルドゥは情緒それ自体が記憶となりえるものであると指摘し、情緒は記憶に影響するプロセスではなく、記憶プロセスとして扱われるべきであるとしている。
さらに扁桃体はその情緒評価を行った後、海馬を含む脳の諸機構に伝達する。
海馬の役割は、この情報を組織化し、類似の感覚入力に関する既存の情報と、新たなる情報を統合することに在る。
海馬の活動の強度は、扁桃体からの入力の強さの影響を受けるとし、扁桃体による意味付けが重大であればあるほど、入力はより詳細にチェックされ、その記憶はより強力に保持される。
しかしアデマック(Ademac, 1991)らの研究では、この関係は逆U型の関数をなしているとしている。
動物実験では、扁桃体の刺激を非常に強くすることで、海馬の機能が抑制されてしまうことが結果として出ている(Ademac, 1991)。
これは情緒的な興奮があまりにも強すぎる場合には、海馬の機能が阻害され、そのために経験を適切に評価したり、分類したりすることが出来なくなるということである。
よって感覚的入力は記憶に貯蔵されるが、海馬がその入力情報を時間的、空間的に定位するのを助けるというその通常の役割を果たさないがために、断片化された記憶として残りつづけてしまうという仮説が立てられるのである(van der Kolk, 1996)。
この仮説によってPTSDの諸症状の記憶の異常という側面の重要性を改めて実感することが出来る。
これらのPTSDにおける記憶の障害と仮説を立てることにより、PTSD治療の方向性をより明確する助けになるのではと考えられる。

第2節 PTSDの神経生物学研究

PTSDと神経ホルモン

PTSDの症状は、ストレスが誘発する脳の構造と機能の現れで、そのストレスは神経化学システムや脳の特定領域での急性及び慢性の変化をもたらし、ストレス反応に関する脳の回路に長期的な変化をもたらすのではと、これまでの研究から仮説が立てられている。
ヴァン・デア・コークの研究によれば、PTSDは急激な苦痛を与える出来事に曝露された後に起きるが、そのストレスはカテコールアミンのホルモン、内因性オピオイドなど、内因性、ストレス反応性の神経ホルモンの分泌を伴う。
これらのストレス・ホルモンは、ストレスに対処するのに必要なエネルギーの生体への供給を、グルコース放出の増強から免疫機能の増強にいたるまでの様々なやり方で支援する(van der Kolk, 1996)。
Axelrodらの研究では慢性で持続的ストレスは、ストレス・ホルモン反応の有効性を阻害し、脱感作を引き起こすとしている(Axelrod & Reisine, 1984)。
ノルエピネフリンは青斑核から分泌され、中枢神経系全般、記憶の固定化や「闘争か逃走か」反応をつかさどる辺縁系と新皮質とに分配される。
ノルエピネフリンニューロンを活性化するストレス因子が青斑核におけるCRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)の濃度を増加させ、一方においてCRFの頭蓋内脳質注入は、前頭葉におけるノルエピネフリンを増加させる(Valentino & Foote, 1988)。
ストレスへの反応として、カテコールアミンによって引き起こされた辺縁系―中脳諸構造の覚醒を、コルチコステロイドが正常化し、その結果、その他の神経ホルモンの分泌が調整されることを示すデータが出ている(Bohus & DeWied, 1978)。

糖質コルチコイドとカテコールアミン

糖質コルチコイドとカテコールアミンは、相互にその作用を制御しあっており、急性ストレス状態において、コルチゾルはストレス・ホルモンの放出の調整に、海馬、視床下部、下垂体へのネガティブ・フィードバックを介して関与している。
ヤフダ、サウスウィック、メイソン、ギラーの研究では、コルチゾルの機能はストレス反応によって開始された全ての生体反応を断ち切るものである、コルチゾルは基本的に「坑ストレスホルモンで」あるとの考え方を示した。
そしてカテコールアミンと糖質コルチコイドの同時活性化は能動的で有効な行動を誘発するのに対して、低い糖質コルチコイド・レベル下での過覚醒は、「闘争か逃走か」という未分化な反応を引き起こすとした(Yehuda, Southwick, Mason, & Giller, 1990)。
そして慢性的なストレスの曝露は、生体が日常ベースで環境に対処する方法を恒久的に変化させ、その後、急性ストレスの対処の方法に影響を与えると考えた(Yahuda et al., 1993)。
Yahudaは急性ストレスが視床下部―下垂体―副腎系を活性化し、糖質コルチコイドのレベルを増す一方で、生体は慢性的なストレスに適応してネガティブ・フィードバック・ループを活性化させ、その結果として安静時の糖質コルチコイド・レベルの低下、その後の糖質コルチコイド分泌の減少、糖質コルチコイド受容体の海馬における濃度増加をもたらし、糖質コルチコイドのネガティブ・フィードバック・ループの強化を促進し、視床下部―下垂体―副腎系の感受性を高め、急性ストレスからの回復を促進するのではないかとしている(Yehuda et al., 1995)。

セロトニン

デヒュー(Depue, 1986)とスプーント(Spoont, 1986)の動物におけるセロトニンの枯渇によって生じる現象が、過度の易刺激性、過度の興奮性、過度の過敏性という性格を持っているとし、軽度の刺激に対する過度の情緒的覚醒ないし攻撃性の表出が生じ、これらの行動がPTSD患者の行動によく似ていることを確認した(Depue & Spoont, 1986)。
これらのことからセロトニン系も糖質コルチコイドと同じようにノルエピネフリンの反応性と覚醒レベルを調整していると考えられている。
セロトニンは環境を柔軟にモニターする能力に関して重要な役割を果たし、現在必要とされている事柄とは無関係な内的刺激に反応することなく、状況に応じた適切な行動での反応する能力に関連している。
ストレスによって生じたセロトニンの機能障害は、行動抑制系の機能不全をもたらす可能性があり、それが衝動性の増加や、攻撃性の爆発トラウマに関連する行動パターンの強迫的な再演、過去の失敗から学ぶことが出来ないことなど、PTSDにみられる様々な行動上の問題と関連している可能性が考えられる(van der Kolk, 1996)。

内因性オピオイド

ビーチャー(Beecher, 1946)は第二次世界大戦中、イタリア戦線で重症を負った兵士の75%がモルヒネを要求しないということから、激しい情動は痛みをブロックする可能性をあげ、後に内因性オピオイドの分泌との関係の研究に発展した(Pitman et al., 1990)。
内因性オピオイドは、痛みを抑制しパニックを低減させるという作用があり、深刻なストレスの長期にわたる曝露の後に分泌される。
ジークフリートの研究では、過剰な内因性オピオイドとノルエピネフリンは顕在性記憶への経験の蓄積を妨げ、脅威となる状況の影響に対してどうすることも出来ない状況に陥った場合の記憶障害の原因を明らかにした(Sigfried et al., 1990)。
凍りつきと麻痺の反応によって、「意識された経験」をしなくてすむようになり、重いストレスとなる状況を記憶しなくてもいいようになることから、トラウマに対する解離反応のメカニズムの一部が明確になる。
また、ピットマン(Pitman, 1990)らの研究で、深刻なストレスを受けた動物にはストレス刺激を中止するとオピオイドの離脱症状が現れることから、恐怖が内因性オピオイド・ペプチドの分泌を活性化し、PTSDを生じている人においても、もともとのトラウマと似通った刺激への再曝露が内因性オピオイド反応を生じ無痛感覚を示した(Pitman, van der Kolk, Orr, & Greenberg, 1990)。
これらの研究はPTSDの感情麻痺と侵入の関係を理解するのに役立つと考えられる。

これらの研究はPTSDの患者の特徴としてあげられている過覚醒、過剰反応、そして解離と麻痺などの症状がどのようにして起こるかを理解する時に重要な役割を果たす。
また、PTSD患者の治療にあたる時、これらの研究がPTSD治療の方向性を示していることから非常に重要である。

第3節 ジャネの外傷性記憶の解離研究

ジャネの研究の再評価

近年、PTSD研究者たちはジャネの外傷病因論説と外傷性記憶の解離メカニズムの考えを再評価している(中根, 2000)。
ジャネの研究はバラエティーにとんだ症候群を持つ数百の患者を綿密に臨床観察することで大半の時間を注いだ。
ピットマン(Pitman)は治療に関してジャネの観察および示唆は、初めて発表された時と変わらず今日においても重要な意味を持っているとしており、「ジャネが貢献したところの意義を完全に理解しようとするならば神経化学の発達を待つほかないだろう(Pitman, 1987)」とまで断言している。

意識野と下意識

ジャネは意識野というものがあるとした。
人は生活において、特に注意を払わずに周囲の情報を取り入れ、これを知覚システムに沿って自動的に分別、統合して記憶に貯蔵している。
この自動に取り入れ分別整理された、出産時より続く記憶システムを下意識(sub-conscious)という。
日々の体験は意識野で認知され、すでに成立してきるシェマ(範例的図式)にしたがって下意識に暗号化され、新たなる記憶システムを作る(斎藤, 2001)。

解離

ここで恐ろしすぎる体験や異常な体験が、意識野での認知コントロールを超えてしまうと、その時感じた恐怖や不快な感覚そのものは下意識に自動的に蓄積されるが、意識野からは分離されてしまう。
意識野にない感覚の断片が病的な心理自動症(ロートマティズム・プシコロジク)として後になって表現されることを「解離」とし、その結果として広汎にわたる諸症状が生じることをヒステリーの名で呼ばれると主張した。

下意識固着観念

ジャネは解離して断片化した記憶が既存の意識とは別の意識領域を作ることを下意識固着観念(イデーフイクセ)と呼び、これらは通常の意識とは異なる外傷性意識状態を作り、そのことが既存の意識では認識出来にくくなってしまう状態とした。
これらの下意識固着観念がトラウマとなった記憶の認知的要素、情緒的要素、臓器感覚要素(visceral element)をまとめると同時に、それらを意識レベルでの気付きから締め出す働きをしている。
この下意識固着観念と呼ばれているものが現在の外傷性記憶のことを指す。
この下意識固着観念(外傷性記憶)がその人の知覚、行動、気分に影響を与えるが、本人は認識することが出来ない。
下意識固着観念は過去の経験に基づいているので、その影響により、現在の機能においても障害を及ぼし、適応的価値にも乏しくなってしまう(van der Hart, 1989)。
解離は続くストレスに対する対処法であり続け、下意識の記憶を行動に影響させ続けてしまう。
このように意識をバイパスすることでストレスに反応する人は情緒的な拘束がかかり、同一性自我状態と呼ばれているような全般にわたる感情を持てなくなってしまう。
この極端な例が解離性同一性障害で、その場合には開始期固着観念が全く別々の自我同一性を作り上げてしまうのである(van der Hart, 1989)。

ジャネの心的外傷理論

その人が強烈な感情体験に反応する時に、正常な情報処理の過程と適切な行動が障害される。
そして引き起こされた過覚醒状態は、心的外傷に伴う記憶を障害し、意識と記憶を切り離し、記憶を身体的に蓄積する。
この「内臓記憶」の断片が後になって、生理反応や感情状態、視覚イメージ、フラッシュバックや悪夢として出現するとジャネは考えた(中根, 2000)。
記憶の障害についてもジャネは詳しく言及している。
「激しい感情」に支配された時、その人はその人ではなくなってしまい、感情が先立って出来事を忘れるという現象が見られる。
その際に強烈な情緒体験が伴い持続的な逆行健忘の形をとる。
患者はこれらの記憶を処理し、恐怖を軽減させようとするが、記憶を中和しようとすればするほど、自分がそれをどれほど恐れ嫌悪しているかに気付くことになるので引き出すことを躊躇してしまう。
その状態はナラティブ・メモリー(語られる記憶)と呼ばれている記憶を詳述することが出来ず、そのうえ中途半端に引き出された不快な感覚と向き合うことになる。
これがトラウマ体験の「統合(synthesis)」を阻み、通常の意識からトラウマ記憶を分離させる「記憶の恐怖(a phobia of memory)」を生み出してしまう。
トラウマの記憶上の痕跡は下意識固着観念として残り、ナラティブ(語り)に返還されるまで清算(liquidated)されることがなく、逆に恐ろしい知覚、強迫観念や不安反応といった心気的再体験として侵略され続けてしまうとジャネは語っている(Janet, 1925)。
そして過去の外傷体験を適切な行動で乗り越えない限り、患者は過去と現在のストレッサーに挟まれ、それに対応する力も低下していく。
患者は内在化されながらも認識されない記憶として悩まされていき、そのために意識はますます狭められ、現実に対処する力までも次第に失われていくことになる。
しかし、外傷性記憶を克服しようと努力すればするほど、患者はますますひどく感情的になり、外傷体験の再上演(夢遊病的危機-somnambulistic crises)、活動する意識の喪失(abulia)、心気的症状になってしまう。
結果慢性的な無力感に陥ってしまうとジャネは説明している(Janet, 1925)。

ジャネはPTSDの症状を的確に捉えており、今日の認知、記憶、また神経生理学のPTSDの概念を統合する仮説であると感じられる。
実際の臨床の中でジャネが語っていたことがいかに正確に捉えているかを実感することが多くあり、今だはっきりしないPTSD治療の方向性を研究していく上で重要な道しるべになると考えられる。

第3章 外傷後ストレス障害の心理療法研究

第1節 認知行動療法(曝露療法)

曝露療法の方法

フォアらのPTSD患者に対する有効な治療法の研究において、認知行動療法は治療効果が最も研究されている治療法であるPTSDに対して明らかに効果があるとしている(Foa, 2000)。
認知療法の中の曝露療法が不安を軽減させる効果を説明するためにフォアとコザックはラング(Lang, 1977)の恐怖に関する理論を応用している。
ラングの理論では、恐怖はある種の認知構造であり、恐怖を与える刺激、恐怖反応、その刺激と反応を結びつける意味の3つから構成されている。
そして不安障害者の恐怖の認知構造には病的要素があり、その病的要素を修正させる治療が重要としている(Lang, 1977)。
この理論からすると恐怖低減のためには、まず、恐怖の記憶が活性化される必要があり、そして、認知構造に存在する病的要素とは違う要素を含む情報を付け加えることで、新たな記憶が形成されなければならないとしている(van der Kolk, 1996)。

曝露療法の効果

実際の曝露療法(exposure therapy)では、認知構造の恐怖を引き出すことで活性化し、統合されるべき修正情報を与え、その結果恐怖の構造が調整される機会を提供する。
この調整により症状が軽減する可能性が生じる。
外傷性の記憶に繰り返しさらされることで慣れが生じ、PTSD患者は、激しい恐怖反応を起こさずにその記憶を想起できるようになる。
また、認知構造における恐怖の要素が弱められると、それまで一般化によって恐怖と結びつけられていた多くの刺激が、もはや恐怖を引き起こさなくなってしまう。
こうした考えのもとフォアとコザックは治療研究の中で、曝露療法中と療法自体に対する慣れ、そして恐れに対する評価の変化は認知構造に変化が生じている徴候であるとした(For & Kozak, 1986)。
フォアの更なる研究の中でPTSD患者のトラウマ性記憶は、「常に危険に満ちた世界」及び「うまく対処出来ない自分」という特徴があることを示している(Foa et al., 1989)。
よって、トラウマ性の記憶における恐怖の認知構造は、他の記憶よりいっそう混乱しており、混乱した記憶は修正がより困難であることが予測でき、このことから認知行動療法の治療目的は記憶が組織化されることと、不適切な信念を修正することの二つの側面が必要だという結論に至っている。

曝露療法による認知の変化

このような研究とレイプ被害者の治療経験から、フォアとリッグスは長時間曝露(prolonged exposure: PE)を提案した(Foa & Riggs, 1993)。
PEは何度も繰り返し再体験することにより、記憶がより組織化され、既存の認知的枠組み(シェーマ)に統合しやすくなり、トラウマ性の記憶と結びついた不安を低減させ、記憶が持つ意味の再評価が出来るようになると考えた。
トラウマ性の記憶を情緒的に処理することにより、世界が常に危険に満ちているとは見なくなり、トラウマを生じた体験を特別な出来事と見ることが出来るようになり、安全と危険の区別がつけられるようになる。
ここからPTSDの症状である侵入と回避が軽減し、「うまく対処出来ない自分」から「適切に対処出来る自分」へと認知的に変化が起き、回復することが出来るとしている。

ストレス免疫法による自己コントロール

メッケンバーム(Meichenbaum, 1974)は不安を持つ患者は不安をコントロールするための技術が足りないとして、その技術を身に付けるため、自己暗示法、バイオフィードバック、リラクセーションの訓練を組み合わせた療法の研究を行い、ストレス免疫法(stress inoculation training: SIT)を開発した。
後に、キルパトリック(Kilpatrick, 1982)によって性的被害者のためのPTSD療法として、筋リラクセーション、ロールプレイ、思考停止法などと組み合わされて使われている。
この療法はトラウマ性記憶の組織化の問題に直接的に影響を及ぼすことはないが、被害者の自己認知の枠組みに影響を与えることが出来る。
これを行うことでPTSD患者は自己コントロール能力に自信を感じることが出来るようになり、トラウマ性の記憶に長時間耐えることが出来るようになる。
そして、ストレスにSITを用いて対応出来ると自信をつけさせることにより、将来のPTSDからの恐怖に対しても、それほど怯えることなく生活が出来るようになる(van der Kolk, 1996)。

最終的なフォアらの研究では、PEかSITのどちらか一方を適応するよりも、2つの療法を組み合わせた方が、PTSD患者の自己と世界に関する認知の枠組みを変えることになり、PTSDの症状を軽減させるのに最も効果的であるとしている(Foa & Riggs, 1993)。

治療者自身のトラウマ性記憶活性化の必要性

曝露療法の研究の中で最も興味深いものは、PTSDの恐怖を低減させるための2つの治療条件の研究である。
一つは、治療者がトラウマに関連した情報に注意深く耳を傾けながら、治療者自身のトラウマ性記憶を活性化出来なければならない(Keane & Kaloupek, 1982)。
治療者のトラウマ性記憶の活性化が起こりトラウマに関係した感情が経験されなければ、患者のトラウマ構造は修正されないとしている(Litz & Keane, 1989)。
治療の中でクライアントの話を聞いて、自分の過去の経験と照らしあわせ、自分自身の経験から、惨めな気持ちや、怒り奮闘状態になり、患者のトラウマに共感しなければならないということである。
もう一つは、クライアントのトラウマ体験とは相矛盾した情報を提供することが重要であるということは、クライアントのトラウマを活性化するのに十分な程度の類似性を持った要素を含んだ治療者の経験を患者にオープンにしながら、患者のトラウマを変化させるに足りるほどの要素を含ませた情報を提供しなければならないということである。
これは、筆者なりの解釈ではあるが非常に共感できる研究である。
確かに、患者のトラウマ体験を治療者自身のトラウマ性記憶と重ねながらイメージしなければ、患者の刺激の要素、反応の要素、意味の要素は引き出されることがなく、平坦な感情しか引き出されない。
治療者自身が、ある意味で患者のトラウマ体験を聞きながら、自分の体験を重ね合わせることで患者からトラウマ体験の複雑な感情が引き出すことでき、患者のトラウマ体験と解離された感情が統合されることになる。
この統合される瞬間に、治療者はフォアの研究の中で定義しているトラウマ体験と相矛盾した情報を提供するわけであるが、この情報はある意味でのブラックジョーク、もしくは落語的センスである。
治療者自身のトラウマ体験をもう一度見直すことで、悲しくもあり、またおかしくもありといった実生活に密着した「落ち」をつけることが出来る。
認知行動療法で最も重要なのが、この落ちを患者のトラウマ体験情報の最後につけることであると実感するのである。
これを的確に行うことで、患者はトラウマ記憶を苦痛が軽減されたまま感情記憶と共に統合することが可能となるのではと考えられる。

曝露療法の問題点…治療者のトレーニングと資質

ここでの問題は、治療者が自分自身のトラウマ体験をある意味で自己開示(self-exposure)して相手の複雑な感情を引き出すまでにどれくらいトレーニングが必要であるだろうかということである。
確かに、患者自身がトラウマ体験の感情を統合させるために、その時の状況記憶に曝露されなければならないが、感情麻痺が起こっている感情を引き出すためには治療者のトラウマ性記憶から起こるトラウマ性感情が必要不可欠となる。
治療者の感情なしでは、複雑な側面が引き出されることなく、トラウマ性記憶の統合も起こらず、患者は曝露され苦痛にさらされるだけの可能性が高くなる。
また、第二の要素である、相矛盾した情報を提供出来るか否かは治療者のセンスである。
ここでの治療者のセンスとは柔軟性であり、ユーモアのセンスであると感じる。
治療者の柔軟性を含んだ情報が患者のトラウマ性記憶に付け加えられることで、大変ショックを引き起こした出来事を、この一部始終をもう一度体験することなく、物語として話すことが出来るようになる(van der Kolk, 1996)。
ある意味で、治療者の情報提供が患者の苦痛の度合いをコントロールするという側面が曝露療法にはあるのではと考えられる。
また、長期間、曝露を行うPEなどから、治療者の忍耐も必要であるが、それ以上に患者に苦痛を伴う治療に通い続けさせる治療者としての信憑性も必要となる。
よって、認知行動療法の中の曝露療法は効果的ではあるが、治療者の資質と経験が重要な要素になる療法ではないかと考えられる。
これだけの要素を備え、訓練を受けてきたPTSD治療を目指す治療者に患者があたる確立がこの曝露療法では大きな問題となる。

第2節 新奇な脱感作療法研究

系統的脱感作療法

認知療法の中にウオルピ(Wolp, 1958)が研究した系統的脱感作療法がある。
この脱感作療法は、不安を感じる刺激や状況に対して、恐怖反応に対抗するような条件付け(逆制止)を行う技法である。
治療者は、患者が不安を感じる刺激(状況、物)についてあらかじめリストアップし、そのリストにある刺激をSUD(Subjective Unit of Distress:主観的苦痛の程度:0点全く大丈夫~10点非常に辛い)の低い順番に並べていく。
その後、患者にリラクセーションの方法を教示し、SUDの低いものをイメージさせ不安を感じるようであればそのリラクセーションを用いてリラックスするように指導する。
そして、イメージして不安を感じてリラクセーションをすることを繰り返して、不安なイメージのSUDが0点になるまで繰り返させる。
最初に作成したリストでSUDが低いものから徐々にSUDを0点にしていき、SUDが高いものまでリラックスできるように段階的に進め、全く不安を感じなくなるまでセッションを普通10回~12回行う。

EMDR

シャピロ(Shapiro,1989)は偶然、歩きながら不快な体験を思い出しながら不快感を感じている時に眼球を横にずらした時、その不快感が軽減した体験からEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)を研究し始めた。
その方法は、患者が最も辛い外傷イメージでSUDを聴取した後、患者にそのイメージをさせたまま、治療者が患者の目の前で指を、患者の30~50cmの距離で保ち、左右に40~50cmの幅で1秒間に2往復程度動かし、患者は顔を真っ直ぐに保たせながらその指を目で追い続けさせる。
治療者はおよそ24往復くらい左右移動させた後に患者にSUDを聞き、外傷イメージにある自分が持っている否定的な認知を明らかにし、再び眼球左右運動を繰り返す。
この作業を繰り返し、SUDが0点になるまで行うと、およそ1セッションで40分から1時間30分を要する。
ヴォウガン(Vaughan et al., 1994)らのEMDRの研究では特に悪夢やフラッシュバックのような侵入的想起の頻度や強度に対して有効な効果があることが示されている。
過去の性的虐待から生じる、身体表現性障害にも有効であることが報告されている(大嶋, 1998)。

TFT

キャラハン(Callahan, 2000)は、2年間治療してきた水恐怖の患者に、目の下を数回タッピングさせた後、その患者がそれまで近寄ることが出来なかったプールまで走っていき、治療者が危険と判断し制止した。
その時、患者は「自分は泳げないから水には入らないから心配しないで大丈夫」といったことから、目の下のタッピングが水に対する恐怖を軽減させたと確信しTFT(Thought Field Therapy)を研究した。
その後、キャラハンは経絡のツボを順番に叩くことで、恐怖や不安から開放させるとした。
単純な不安を抱えている患者に対しては、まず不安な状況を思い浮かべてもらい、SUDを聴取して、眼の下、わきの下、鎖骨下の順番で各ツボ10回ずつタッピングさせる。
タッピングの後にガミュートスポット(手の甲、小指と薬指の骨の間)をタッピングしながら眼球運動、ハミング、5秒間患者に数えさせ、ハミングをさせ、もう一度、先ほどの順番でツボをタッピングする。
終了後、SUDを聴取しSUDが下がるまでこれを繰り返すという方法である。
治療時間は5分~15分と短時間で終了し、1回の治療でも効果が確認することが出来、また患者がこのパターンを覚えて不安を感じた時に患者自身に適応させるという方法用いることが出来るとしている。
TFTは特定の臨床的目標を達成する気になれない患者の気持ちを逆転するのに役立つ手続きであり、患者のトラウマ性ストレスへの接近を、認知的にだけではなく、運動感覚、感情的、生化学的に行う上で有用な手続きであるとも言われている(van der Kolk, 1996)。

V/KD

コージー(Koziey, 1987)のPTSD治療研究ではミルトン・エリクソン(Milton Erickson, 1982)の手法を応用した治療法がある。
それが視覚と運動感覚の解離(V/KD:visual/kinesthetic dissociation; Koziey & Mcleod, 1987)である。
この手法はクライアントが喪失した記憶を取り戻したり、厄介なトラウマ性の体験をリフレーミング(別の見方が出来るようにするための情報提供)したりする。
これにより、トラウマ性のストレスを有意に軽減させるとしている。

脱感作療法の全体的特徴

これらのEMDR、TFT、V/KDに共通することは短時間で患者の苦痛を軽減させる機能があると主張している点である。
これらの新しい治療法における主要な即効性分は、患者がもとの体験から自分を遠ざけるような仕方で記憶を体験出来ることにあるとしている。
確かに不快な感覚を想起した時、目線を横にずらしたり、歌を口ずさんだり、後頭部を撫でたり、指の関節を鳴らしたりすることで、不快感の強度が軽減したような感覚が得られることがある。
これを治療法に用いることで患者は外傷体験を別の観点から見ることが出来、その結果として現在の展望を変化させ、過去との折り合いをつけることが出来るようになると、これらの治療の研究者たちは主張している(Figley, 1996)。
またフィグリーのEMDR研究ではEMDRは侵入的想起の頻度と強度を軽減させる効果の可能性が示唆されたが、他の技法でも同じ効果があげられることも指摘している。
そして、これらの療法の共通点は、患者がPTSDのSUDを低下させるためには外傷体験の詳細を曝露療法のように言葉で全て説明する必要がないという点を指摘している。

脱感作療法の問題点

問題と感じられる点は、患者にとって画期的な療法であるならば、治療者もそれを使い続け、効果の報告が相次ぐはずである。
現在のところどの療法についても、一時的に話題に上っただけで終わってしまっているように感じる。
その理由を考えた時、EMDRについては、解離性障害の患者にはよほどのトレーニングを積んだ治療者のみが治療可能としている。
実際に、治療経験を積んだものが適用してもフォルス・メモリーの問題が起こってしまった報告がある。
また、治療直後にある一定の高揚感を患者は体験することが出来るが、その3日後にうつ状態に陥ってしまうケースが多くあり、その落ち込みが危険なのではと感じる場合も多々ある。
TFTでは治療者が学んで熱意を持って心的外傷患者に使うことで何らかの効果を得ることが出来る。熱意を持った治療者の場合、1ヶ月間はどんなケースに使っても、治療効果を患者から感じ取ることが出来るが、それ以上の期間になると、突然、どの患者に使用しても治療効果を感じられなくなってしまうことが多くある。
TFTの場合はEMDRのような副作用が起きないことから、患者には危険は伴うことはないが治療者が徐々に効果を信じられなくなりTFT自体を使用しなくなってしまうのである。
EMDRとTFTの共通している問題点は、適用する患者としない患者がはっきりしている点である。
EMDRなどは1時間以上患者に何度も指を目で追わせなければならないので、かなりの忍耐を必要とする。
また、解離性障害があるケースの適用が悪いということは、複雑性PTSD患者のほとんどに解離性症状が存在することから、EMDRの複雑性PTSDの適用自体を疑問視してしまうことになる。
TFTの場合、ツボを患者自身が刺激したり、ハミングをしたりするので男性の患者がこの療法を避ける可能性は非常に高い。
久籐の報告では、やはり男性より女性の患者の効果に有意差が見られた(久籐, 2000)。
男性患者に対しては、治療行程に恥ずかしさが伴なってしまい継続させるのが難しい。
筆者がEMDRとTFTをPTSD患者に適用した時に感じたことは、やはり曝露療法とは効果が違うということである。
EMDRやTFTは実際に患者が心的外傷記憶から解放されることは確かであるが、治療後にトラウマ記憶が患者の中から抜けてしまったような感覚を受けた。
曝露療法では長期間、患者と共に治療者が共感しながら、解離した記憶を患者の中に統合していく作業では、人格変容(Personality Change)が起こり、患者は感情豊かになり、アサーティブになる。
曝露療法で記憶統合の作業を行った時も、患者の人格変容が起きた時も患者が高揚感を感じることはほとんどない。
患者自身が実感出来ないくらい静かなものである。
EMDRは特に治療直後の高揚感は得られるが、その後、患者の基本的状態は変わらず堂堂巡りになってしまうことが多い。
TFTの治療でも、やはりトラウマ性記憶に対して感じないように条件付けをしている感覚を治療している中で受けた。
TFTの治療を受けた後は、トラウマ性記憶をイメージしても不快な感覚は起こらないが、解離した感覚記憶は処理されていないのではと感じた。
筆者がこれらの療法に感じる一番大きな問題点は、患者のトラウマ性記憶から活性化される治療者の内的な情報が、これらの療法の中では注目されない点である。
曝露療法の中でフォアがその重要性について語っているのは、治療者の活性化されたトラウマ記憶がクライアントの解離されたトラウマ性記憶を活性化し、統合するのに重要であるからと感じられる。
それを用いずに治療を行った場合、治療効果というものは全く別な結果になってしまうのではと考えた。
また、それが用いられずに治療が終わることで治療者の中に活性化されたトラウマ性記憶が手付かずに残り、何らかの不全感に陥るのではと考えられる。

第3節 催眠療法

PTSD治療における催眠療法

催眠療法はPTSD患者を圧倒させることなく過去のトラウマを再体験させるのに最も役立つ方法として知られている。
PTSDの治療としては第一次世界大戦の時にはじめて系統的に導入され、除反応は、回復した記憶の心理療法的な処理とともに用いられ、幼児期の虐待の被害者や慢性的PTSDを生じているものに適用されている(Putnam, 1992)。
PTSD治療における催眠療法の研究の中で催眠のPTSD治療に果たす機能があげられている。
催眠は、解離していたり抑圧されていたトラウマ性の内容を取り戻すとされており、忘れられていた情動と想起された内容を再結合する。
また催眠はトラウマ性の記憶を変形する機能も備えている。
よって催眠はトラウマ性の記憶に無理なく接近し治療的な直接的曝露の手段となり、PTSDの心因性健忘に有効に作用するという研究があげられている(Spiegel & Cardena, 1990)。
さらに、催眠はトラウマとなった体験を新たな枠組みにはめ込むことにより、トラウマ体験により固着してしまった感情自体を取り扱うことが出来るので、患者がそのトラウマ性の体験に直面し耐えるのを容易にするために催眠を利用するような方法もあるとされていることから、トラウマから起こる強烈な感情により解離してしまった記憶を扱う治療者には非常に有効な方法であるとされている。

ミルトン・エリクソン的催眠療法

しかし伝統的な催眠は「フォルス・メモリー」論争により、治療的に有効であることと、催眠から引き出された記憶が訴訟的に有効であるかの葛藤により評判が悪くなってしまった。
そこで研究されているのがミルトン・エリクソン(Milton Erickson, 1976)の催眠療法を用いたPTSD治療である。
エリクソンの催眠療法はトラウマ性の記憶に全く無理なくアプローチし、その枠組みを変化させ、PTSDの症状を軽減させるといった特徴を持っている。

エリクソンのPTSD治療例

エリクソンの研究の対象となっている複合性PTSD治療のケースは30代の女性で6歳の時に父親から何度も性的な虐待を受け続けたため、それが心的外傷になり、男性性器に対する恐怖症と性的に汚れているという自己否定感があり男性との関係がうまく持てないというものである。
エリクソンは会話の中で女性を催眠状態に入れ、女性自身が汚れているような気持ちで、勃起したペニスが恐ろしくて仕方がないということを一回のセッションで引き出した。
そして、エリクソンは彼女に「あなたのヴァギナは、ペニスをぶらぶら揺れる寄る辺ないものへと無力化するという、悪徳の快楽を得ることが出来るのです」と伝えた。
その後、女性患者は男性に対して恐怖心がなくなり、外傷体験からくる自己否定感からも解放されるというものである(Rosen, 1982)。
この催眠治療の中でエリクソンは女性のトラウマ性記憶を活性化し、そしてトラウマ記憶とは相矛盾した情報を活性化された記憶に結合し、患者の記憶の統合を行ったのではと考えられる。
エリクソンは過去の記憶を詳細に語らせることなく、催眠を用いて記憶を活性化させるという作業を行っていることがこのエリクソンの催眠療法研究で重要なポイントとなる。

治療者と患者の共体験の重要性

多くの治療者が、エリクソンが用いた言葉だけを取りあげ、それを真似することで同じ効果を得ようとするが、それはトラウマ性記憶と感情の統合にはつながらず、長期的な効果を得ることが出来ない。
エリクソンの催眠を用いたPTSD治療研究で重要なことは、催眠下でエリクソンは自分自身も催眠状態に入り自分のトラウマ性記憶を活性化させるような作業を行っており、そこから患者のトラウマ性記憶を活性化させ治療者と患者間の共体験を行っていると考えられる。
催眠下で共体験をすることでエリクソンはトラウマ性記憶が持つ、刺激の要素、反応の要素、そして意味の要素を的確に捉え、患者のトラウマを変化させる要素を含ませることが可能となる。
治療者と患者が同時に催眠下に入る時、意識的に治療者のトラウマ性記憶を活性化することなく、無意識的に活性化され共体験に結びつけることができるのではと考える。

PTSD治療における催眠療法の問題点

多くの治療者がミルトン・エリクソンの研究を行っているが、エリクソンの言葉ばかりにとらわれてしまい、肝心な治療者自身の催眠状態に注意が向けられなくなってしまうことに問題を感じる。
また治療者の催眠状態よりも患者の催眠状態を優先させることで、PTSD治療の重要な共体験の部分が欠けてしまう可能性がある。
また催眠を用いて治療をする時に治療者が患者の失われた記憶を催眠下で引き出し、その枠組みを変えることに集中することで、PTSD患者のトラウマ性記憶が活性化されないまま治療者の主観的な治療を行うことで「フォルス・メモリー」などの問題も多くなり、催眠療法自体の信憑性を失ってしまう。

第4章 FAP(Free from Anxiety Program)に関する研究

第1節 FAP研究の歴史

FAPの誕生経緯

FAPの研究は心的外傷治療から始まった。
心的外傷治療の治療法は認知行動療法の曝露療法が主であったが、感情麻痺を起こしている解離性障害の患者に対しては認知行動療法を適用するのは非常に難しく、催眠療法なども併用して用いられていた。
催眠療法が解離性症状の背後にある、認識されない記憶を表面化させるのに重要な機能を持っていた。
催眠状態で抑圧が軽減した状態で、過去の外傷体験が表面化されたとことで、認知行動療法で治療者もトラウマ記憶の活性化を行いながら感情の統合を行うことが目的としていた。
心的外傷患者が意識化されていなかった記憶が意識化された時、それまで麻痺していた感情も感じるようになり、患者はその感情と向き合わずにはいられない。
患者はその感情と向き合わないために記憶も感情も解離していたのに、治療の場でこれまで避けてきた感情と感覚に直面させられる。
その時、患者は面接場面でもだえ苦しみ、治療者に対して感情をぶつけることをする。
治療者は、心的外傷記憶が活性化されて感情が統合されなければ患者の解離症状は軽減することなく、患者が主訴としている孤独感や自己否定感が消えることがないと信じていたので、治療者自身も、患者の感情と向き合う必要があった。

治療者の内蔵器反応

しかし、心的外傷患者は感情麻痺により、外傷体験の話をしていても患者の表情や言葉からは感情や重傷度を受け取ることは難しく、その話し方からではことの重大さを理解することが出来るまで時間がかかる。
ともすればほとんどのケースにフォルス・メモリーの疑いをかけなければならないほどに感情が伴わず、患者は冷静に淡々と話をする。
しかし、どんなに患者が冷静に淡々と話を進めても、治療者が身体的に苦しくなるということを体験した。
それは、患者が不安と訴える時には治療者の腸の周辺に不快感を感じ、怒りを訴える時には胃に痛みや不快感を感じていた。
患者がパニックを訴える時には心臓が苦しくなり、緊張している時には肩が重くなり、呼吸が苦しくなることが多くあった。
始めは、治療者のストレスや健康状態にその症状を帰属していたが、治療者の身体の状態に左右されることなくこの症状が起こることから、これが患者とのコミュニケーションの結果起きているのではという仮説を立て、治療に取り組んだ。
治療者の身体症状を患者からの情報として共感に用いることを実際に行った。
患者が淡々と語る外傷体験の情報に、治療者は身体の不快感や苦痛の感覚を足して共感することをした。
すると患者の外傷記憶は活性化され、患者の感情の吐露(カタルシス)を観察することが出来た。
治療者の内臓器で感じ取る反応を足して、患者の話を聞くことで、それまで引き出すことが出来なかった患者の感情を短時間で引き出すことが出来ることを発見した。
そして、これを用いて治療することで、感情と記憶の統合が曝露療法よりも高い確率で、短時間になされることに気付いた。
この治療を続けるうちに、新たなる発見があった。
それは、患者の話を聞く前から、治療者の内臓器反応が起きていたということである。
患者が外傷体験をイメージした段階で治療者の内臓に反応があり、その反応を用いて話を聞くことで、患者は話している段階から感情が出せるようになった。
治療者に対して怒りを持っている患者に関しては、部屋に入った瞬間から治療者の胃が痛み、怒りを持っていることを事前に知ることが出来、その感情に対して共感して統合する作業をすることが出来た。

指先で内蔵器反応を捉える

この方法で治療を進める時、心的外傷者の感情麻痺の症状は軽減するようになり、PTSDの様々な症状も軽減するのが確認された。
しかし、これは治療者の内臓器の反応なので、非常に主観的であり、他の臨床家と情報が共有出来ないことに問題を感じた。
より、客観的に情報を患者から受け取り、そして他の治療者と共有出来る方法が求められた。
そして、研究を進めていた時、経絡の本から経絡は足のつま先から指の先まで流れているということを知り、内臓器の反応を指先でも捉えることが出来るのではということを考えた。
主観が入らない方法として、見つけ出したのが、指先を弛緩しながら、手首の柔軟体操を行うようにぶらぶらさせることで、自分の意志を持って指先を動かすことが出来ない状態を作れることに気が付いた。
実際の臨床の場面で、患者に見えないように後ろに立ち、患者が不安なことを頭でイメージした時に治療者の薬指が硬直した。

指の反応パターン

患者に不安なことを思い浮かべていることを治療者に伝えないでランダムにイメージしてもらうと、患者が不安をイメージした時のみ指が反応を示した。
他の治療者にブラインドで同じ患者を用いて実験してみたところ、やはり同じ反応を得ることが出来た。
これにより、内臓器反応を指先で捉えることの可能性が十分に考えられた。
様々な患者に対して、この方法をためしていると、指の反応に違いがあることに気付き、その違いにある一定のパターンがあることを発見した。
患者が不安感を抱いている時は、薬指だけが一回だけ反応、恐怖を抱いている時は薬指が硬直したままの状態になる(Table 1.1参照)ことを発見した。
他の治療者にブラインドで同じ患者で実験したところやはり同じ反応が得られた。
Table1.1で捉えたパターンの感情で共感するということを臨床現場では行っていたが、もっと効率のよいフィードバック方法があるのではと考えた。

FAPによる感情の統合の仕組み

そこで治療者の捉えた指の順番のまま、患者に押さえてもらうことをしてみた。
指の反応が感情を表現しているならば、治療者がそれを捉えたという共感をより的確に伝えるために、治療者が捉えた指の順番で押さえてもらうことで感情をフィードバック出来るのではと考えた。
患者に外傷体験を思い浮かべながら押さえてもらうことで、不安階層表(SUD:Subjective Unit of Distress)は低くなった。
しかし、一週間後にはまた同じ状態になっていたことから、治療行程の改善の必要性を感じた。
恐怖などの感情は扁桃核が携わっているが、2章1節の記憶システム研究の中でアドマックの説では扁桃体が刺激されすぎることで海馬とのつながりが悪くなるというものがあった。
指刺激で恐怖の感情を扁桃体に伝えているとしたら、扁桃体が反応しすぎることで、その時の記憶は逆行健忘を起こし、患者の外傷体験の不快感は低減するが、海馬とのつながりを持たせない限り、感情の統合はありえないのではないかと考えた。
そこで扁桃体に刺激を送った後、海馬に対しても刺激を与え、扁桃体とのつながりを持たせる目的で、患者に視線を真っ直ぐにしてもらったまま、意識だけを左右に5往復してもらうという作業を加えた(Table1.1参照)。
そしてもう一度、扁桃体を刺激することで、心的外傷体験と感情が統合されると考えた。
患者が外傷体験を思い浮かべて治療者の指の反応が起こらなくなった時点で治療終了とし、最後にもう一度海馬とのつながりを持たせる意味で、患者に目線を真っ直ぐのまま、意識だけを大きく左に、そして患者の頭の中を通っていく感じで右に移動させることで、治療の定着はより確実になることを確認した。
そして、この治療法を190人の治療者に実験をしてみたところ、同じような効果が得られたことからFAP療法を治療法として使い始めた。

第2節 FAPの手続き

FAPの手続き

FAPでは患者が苦痛に感じている過去の体験でも、あまりはっきりしない記憶に伴う不快感に対しても適応できる。
治療の手順としては、患者が不快なことを思い浮かべてもらうか、発声してもらう。
治療者はその時、患者の視覚外で手首を振り、指の反応を確かめる。
治療者が指の反応が確認出来た時、受け取った指の順番で、患者に不快な感覚をイメージするか、発声してもらいながら患者自身に指を押さえてもらう(Fig2参照)。
患者が指の順番を押さえ終わった時、患者の目線を真っ直ぐにしてもらい、意識の左右移動を5往復させ、その後もう一度先ほどと同じ指の順番を押さえてもらう。
この作業が終了した時、治療者はもう一度手首を振り、指の反応から患者の不快感があるかどうかを確かめる。
反応が在った場合は治療工程を繰り返し、治療者の指の反応が消失するまでこれを行う。

第3節 FAPの適用

FAPの適用

FAP治療では、ショックにより解離した感情を統合するという作用に期待する。
治療対象となるものはシンプルPTSDから複雑PTSD患者までと幅が広い。
また、解消体験の明確な記憶の有無は治療効果に影響しないことがこれまでの治療研究から理解されている。
PTSD患者か、その疑いがもたれる患者が、ある一定の不快感や苦痛を訴えている場合、その記憶がはっきりしないままでも、その不快感や苦痛に注目することで治療を行うことが可能である。
治療後、その不快感や苦痛にまつわる記憶が戻ってくる場合もあるが、その記憶のつながりがないまま治療が終了することも多くある。
どちらの場合でも、患者の不快感や苦痛は軽減し、次回の報告の時にはほとんど話題にならないくらいの状態になっている。
FAP治療は患者が心的外傷を受けた直後でも治療効果が見られ、患者の幼児期のほとんど記憶がない状態でも治療が可能であるとされている。
またFAP治療の年齢的な適応もなく、知能的な適応も見られない。
久籐(2002)の報告では、他の認知行動療法では男女の治療後効果の有意差が見られたが、FAP治療では見られなかった。
患者が感情麻痺をした状態でもパニック状態でもFAPの場合治療が可能である。
患者が治療抵抗を示している場合、FAP療法では、治療者が内臓器反応で患者の治療抵抗を受け取ることが出来、これもまた患者のツボで治療抵抗を軽減させることが可能としている(Fig.2参照)。

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