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それは何かと言うと、まあ僕自身がへまをしたというか、へまじゃないと言えばへまではないのかもしれないけれども、まあ、一個の壁、大きな壁というのは何かと言ったら、まあ、この人は今心理学の大学院に行っていてカウンセラーになるということで勉強しているから、これは一応オープンにしていい、ということになっているので話しますが、ある人が僕のところに来たのね。その人は普通に働いている人。普通の一般企業で、普通に働いていて、そしてある程度の給料をもらっている人だったのね。でも、何かいつも人との距離というものを感じてしまって、親密になれない、ということだったのね。親密になれない、だから親密になりたいです、ということを言ってきたわけ。そして、親密になるためには、僕はあることに気がついていたのね。それはその人がすごい大きなトラウマを抱えているということ。その人が望んでいることは、親密になりたい、ということなのね。そして、親密になるには、トラウマを処理しなければいけない、と僕は判断したわけ。そしてその人には自分の心の傷が原因だという自覚は全くなかった、ゼロだった。さあ、僕がどうしたかと言ったら、じゃあ、いいですか、と言って、その人がトラウマがないと言い切って、生育歴を取っても、全くありませんと言う。記憶が飛んじゃっているのね、これは。要するに、氷山の下の部分、上の部分はちょこっとしかなくて、下に大きなものを抱えているという、こういう厄介なケースなのね。さあ、じゃあここに氷山がありますよ、ということを知らせるためのステップを踏んでしまったの。そうしたら、その方の中から、ぼーんと大きなトラウマを思い出してしまったの。もう、そうしたらすごーく苦しんだわけ。めちゃくちゃ苦しんだの。セラピーとしてはこれは成功なわけね。曝露両方としてはこれは成功です。さあ、出てきました、感情をどんどん出していきましょう。その時どういう気持ちでしたか、そういうことをやっていくわけ。詳細を緻密に聞いてね、やっていきます。そして一緒に泣きます、嘆きます。その人はやっぱり働けなくなっちゃうわけね。そしてその人は働けなくなって、やっぱり苦しくなってしまうわけ。動けなくなって、もがきながら僕に、「苦しいです」って言うわけね。「くるしーい」という風に。いやー、参ったなあと思ったの。この時にね、本当に、僕はこう思っちゃいけなかったのかもしれないけれども、でも本当に参ったなと思ったの。僕自身が、いや、困った、と。これは正直な気持ちね。そしてその人が本当に苦しんで苦しんで苦しんでいる姿を見て、いやー、この苦しみ何とか取れないかな、と思っちゃったのね。本当は、苦しみを出すというのが曝露療法なの。でもその時はもう、その苦しみを取りたかったのね。でも一旦出したら最後までやるまで止まらないのが曝露療法なのね。止まらないわけ。だから延々と続けるしかない。
そしてその人は、まあ、それだけ能力があったのかもしれないけれども、一生懸命に心理学の本を見て、まあ、短期療法の本とかを読んで、トラウマから回復する方法とか読んで、自分でやって楽になっちゃったりするわけ(笑)。そうしたら妙に悔しいのね(笑)。自分でやってその人は一旦その苦しみから抜けたのだけれども、結局は根底に残っているのは明らかなのね。やっぱりまた封印してしまったというところはどこかにあるのね。でも、また出てきて、また封印して、ということを続けていくうちに多分、回復していくのだと思うのだけれども、やっぱり、その時に楽になりながら治療出来る方法はないかということを、すごーく考えていたわけ。その時から僕は、やっぱりトラウマをただ単に出すだけでは、これはまずいかなあ、と思ったの。まずいかな、というよりも、正直なところ、僕がもたないな、というところがあるのね。僕自身がやっぱりもたないだろうな、と。セラピストとして多分続けていけないだろうな、ということを、直面してしまったわけね。そしてそれからは出来るだけライトに(笑)、軽く、あまり問題を思いっきり出さないようにしよう、ということで、触りたくないところには触らないようにしょう、という治療法に変えていったの。そしてその人が今困っていることだけに焦点を当てて、今ここで、という治療だけに絞っていったんですね。確かにそれでも治療は進むし、患者さんは楽になる。でもやっぱり僕の中で何か不満なのね。それは僕自身の中にまだ残っているものなのね。これは僕のトラウマからの「投影」というのね。患者さんに自分の苦しみを映し出すわけ、結局ね。それで楽になっていないと実感してしまうわけね。この投影をやってしまうわけ。やっぱり何か満足がいかない。そしてまたフラフラっと曝露療法に戻るわけね(笑)。悪の道へ、みたいなね(笑)。でも曝露療法をやるとね、やっぱりセラピストはね、自分の傷が癒されているような感じしてね、なかなかいいものなのよね。これは本当に一緒にやっている、あとは患者さんが変わっていく、という姿を見て、いいものなの。でもやっぱり他のセラピストに理解されないというところがあって、なかなかこれは難しい。
24/08/28
24/08/20
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それは何かと言うと、まあ僕自身がへまをしたというか、へまじゃないと言えばへまではないのかもしれないけれども、まあ、一個の壁、大きな壁というのは何かと言ったら、まあ、この人は今心理学の大学院に行っていてカウンセラーになるということで勉強しているから、これは一応オープンにしていい、ということになっているので話しますが、ある人が僕のところに来たのね。その人は普通に働いている人。普通の一般企業で、普通に働いていて、そしてある程度の給料をもらっている人だったのね。でも、何かいつも人との距離というものを感じてしまって、親密になれない、ということだったのね。親密になれない、だから親密になりたいです、ということを言ってきたわけ。そして、親密になるためには、僕はあることに気がついていたのね。それはその人がすごい大きなトラウマを抱えているということ。その人が望んでいることは、親密になりたい、ということなのね。そして、親密になるには、トラウマを処理しなければいけない、と僕は判断したわけ。そしてその人には自分の心の傷が原因だという自覚は全くなかった、ゼロだった。さあ、僕がどうしたかと言ったら、じゃあ、いいですか、と言って、その人がトラウマがないと言い切って、生育歴を取っても、全くありませんと言う。記憶が飛んじゃっているのね、これは。要するに、氷山の下の部分、上の部分はちょこっとしかなくて、下に大きなものを抱えているという、こういう厄介なケースなのね。さあ、じゃあここに氷山がありますよ、ということを知らせるためのステップを踏んでしまったの。そうしたら、その方の中から、ぼーんと大きなトラウマを思い出してしまったの。もう、そうしたらすごーく苦しんだわけ。めちゃくちゃ苦しんだの。セラピーとしてはこれは成功なわけね。曝露両方としてはこれは成功です。さあ、出てきました、感情をどんどん出していきましょう。その時どういう気持ちでしたか、そういうことをやっていくわけ。詳細を緻密に聞いてね、やっていきます。そして一緒に泣きます、嘆きます。その人はやっぱり働けなくなっちゃうわけね。そしてその人は働けなくなって、やっぱり苦しくなってしまうわけ。動けなくなって、もがきながら僕に、「苦しいです」って言うわけね。「くるしーい」という風に。いやー、参ったなあと思ったの。この時にね、本当に、僕はこう思っちゃいけなかったのかもしれないけれども、でも本当に参ったなと思ったの。僕自身が、いや、困った、と。これは正直な気持ちね。そしてその人が本当に苦しんで苦しんで苦しんでいる姿を見て、いやー、この苦しみ何とか取れないかな、と思っちゃったのね。本当は、苦しみを出すというのが曝露療法なの。でもその時はもう、その苦しみを取りたかったのね。でも一旦出したら最後までやるまで止まらないのが曝露療法なのね。止まらないわけ。だから延々と続けるしかない。
そしてその人は、まあ、それだけ能力があったのかもしれないけれども、一生懸命に心理学の本を見て、まあ、短期療法の本とかを読んで、トラウマから回復する方法とか読んで、自分でやって楽になっちゃったりするわけ(笑)。そうしたら妙に悔しいのね(笑)。自分でやってその人は一旦その苦しみから抜けたのだけれども、結局は根底に残っているのは明らかなのね。やっぱりまた封印してしまったというところはどこかにあるのね。でも、また出てきて、また封印して、ということを続けていくうちに多分、回復していくのだと思うのだけれども、やっぱり、その時に楽になりながら治療出来る方法はないかということを、すごーく考えていたわけ。その時から僕は、やっぱりトラウマをただ単に出すだけでは、これはまずいかなあ、と思ったの。まずいかな、というよりも、正直なところ、僕がもたないな、というところがあるのね。僕自身がやっぱりもたないだろうな、と。セラピストとして多分続けていけないだろうな、ということを、直面してしまったわけね。そしてそれからは出来るだけライトに(笑)、軽く、あまり問題を思いっきり出さないようにしよう、ということで、触りたくないところには触らないようにしょう、という治療法に変えていったの。そしてその人が今困っていることだけに焦点を当てて、今ここで、という治療だけに絞っていったんですね。確かにそれでも治療は進むし、患者さんは楽になる。でもやっぱり僕の中で何か不満なのね。それは僕自身の中にまだ残っているものなのね。これは僕のトラウマからの「投影」というのね。患者さんに自分の苦しみを映し出すわけ、結局ね。それで楽になっていないと実感してしまうわけね。この投影をやってしまうわけ。やっぱり何か満足がいかない。そしてまたフラフラっと曝露療法に戻るわけね(笑)。悪の道へ、みたいなね(笑)。でも曝露療法をやるとね、やっぱりセラピストはね、自分の傷が癒されているような感じしてね、なかなかいいものなのよね。これは本当に一緒にやっている、あとは患者さんが変わっていく、という姿を見て、いいものなの。でもやっぱり他のセラピストに理解されないというところがあって、なかなかこれは難しい。