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大嶋信頼ブログ 緊張しちゃう人たち

2016/06/28 講座

「FAP療法のセミナーってなにをやるんですか?」と質問をされた。

FAP療法って、トラウマ治療の為に編み出された方法で「誰でも簡単にトラウマが治療できる!」というもの。

 

当時は、クライアントさんのいじめのトラウマの話なんて聞いてしまうと、子供時代の惨めな体験が思い出されて、当時の惨めな感覚に引き戻されて苦しんでいた。

家に帰ってからも、惨めなあの感覚がよみがえってきてしまって自分の頭を叩きたくなる(ドン!ドン!ド~ン!)。

 

「あ!そうだ!自分で治療しちゃえばいいんだ!」と思って、朝早く朝日が昇る頃にアパートの階段のところに座って「10歳のトラウマ」とかつぶやきながら治療をしていた。

 

「お!これって効く!」と自分で言うのもなんだったけど、どんどん惨めさが軽くなっていくのが自分で分かった。

 

あの時「あ!本当に過去って変わるのかも!」と思った。

 

あの惨めな悲惨な過去が幻想の世界としてちゃんと見られるようになる。

そして、未来の自分がどんどん自由に変わっていく。

 

自分自身にFAP療法を使ったあのとき、とても面白かった。

 

 

ちょっと話は変わるけど、催眠のお師匠さんのことを知ったのは「現代催眠入門」という本を池袋の大きな本屋さんの心理学コーナーで手に取ってからだった。

大学時代に友達が催眠療法の本を読んで、実験してみたら覚醒させられなくなって問題になった、ということから「お~!催眠療法ってすげ~!」と関心を持っていた。

 

お師匠さんの本には現代催眠の基礎の講座の案内のチラシが挟まっていて、それを大切に持っていた。

自分の性格からして「行きたい!」と言いながら実践しない、という傾向があった。

「勉強しなければ」と言ってもなかなか実践しない、と自分では「だらしない人間」と思っていた。

 

だから、このチラシも持っていながら申し込まないんだろうな~!と内心思っていたが、ある時、家庭内暴力のケースで行き詰って、自分の臨床の限界を感じて、お師匠さんの講座の申し込みの電話をかけてしまった。

 

「現代催眠入門」の本読んでから私の中ではものすごい”神聖化”が起きていた。

素晴らしい場所で、素晴らしい人たちと一緒に素晴らしい講師の方に催眠療法を教えてもらって、催眠療法を完璧に使えるようになって帰れる!と期待していた。

 

お師匠さんのオフィス?の住所に行ってみたら、普通の古いマンションの一角で、懐かしい鉄の扉を開けてみると、メガネをかけたサラリーマンのようなおっさんが受付をしていた。

 

神聖化から一気に私の中で”こき下ろし”に変わる。

 

「こんなところに居たくない」と逃げたい気持ちを一生懸命に抑える。

 

そんな私の気持ちをお師匠さんは多分見抜いていたんだと思う。

 

絨毯の上に鉄パイプの椅子があって、そこに参加者と思われる人たちが丸く座っていた。

 

「専門家じゃないじゃん!」と見て一発でわかってしまった。

 

「え~!」と私の中で何かが崩れていく。

 

逃げたい気持ちを抑えて渋々、自己紹介までたどり着いたら「やっぱり専門家じゃないじゃん!」となって「こんなんでどうやってみんなで催眠療法を学ぶんだ!」という絶望的な気持ちになった。

 

そして、私の自己紹介の番になったら、急にお師匠さんが「大嶋さんは苦労人でして、若くして5人のお子さんを育てていらっしゃるんです」と勝手に紹介してしまった。

 

「ひえ~!」

 

でも、この時、一瞬でお師匠さんの意図を受け取った。

 

「お師匠さんは、私がこの参加者の女性と男女関係のトラブルになると思って先手を打ったな~!」

 

「や~る~な~!このおっさん!」とお師匠様の見方が全く変わってしまった。

 

そして、みんなの前で「そうなんです、子供がたくさんいて貧乏で...」とお師匠さんの投げたパスをしっかりと受け止めてドリブルをする。

 

このとき、参加者の皆さんの見方が自分の中で全く変わった。

 

「なるほど!この場って実践の場にしろってことなのね!この方怖いかも!」と思った。

 

ほんの一瞬で、お師匠さんは状況をすべて変えてしまった。

 

そして、私の臨床のスタイルを変えて下さった。

 

私に足りなかったのは”リスペクト”だったとその時、衝撃的に気付かされた。

心のどこかで「自分には学ぶことなんかない!」とどこかで思い上がっていた自分がちょっと恥ずかしくなったが、5人の子供を抱えている身としては、そんなことはどうでもよくなっていた。

 

出会いって、本当に面白い。

 

あんな凄い技は私には無い。

私には何もないが、なぜか出会えるのは楽しみである。

 

そこに新しいものが生まれるから。

 

 

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